2015年5月31日日曜日

中日いけばな芸術展に行ってきました。

恐らく、中部地方で一番大きくてたくさんの流派が参加しているであろう、第40回記念中日いけばな芸術展に行ってきました。

最初に今回の中日いけばな芸術展の説明を少ししておきます。今回の華展では、57の流派から、総勢828人が出瓶しています。ちなみに、「出瓶」と書いて、「しゅっぺい」と読みます。今回、我らが未生流桐門会からは4瓶出しています。 僕は出していないので気楽に写真を撮るだけです。毎年松坂屋名古屋店で開催されており、今年は5/13-18日6日間行われ、3次構成になっているので、2日毎に活け代えが行われました。入場料は600円になります。

以降では、ざっくばらんに気になった作品を紹介していきたいと思います。以下の紹介では、ちょっとした業界用語とかが出てくるかと思います。その用語がうちの流派だけで通じるのか、どの流派でも共通なのか曖昧な部分もありますので、そのあたりは温かい目で見ながら読み進めてください。それと、個人的に気になった作品ですので、その作品がみんなから認められているかどうか、とか、偉い人が活けているかどうかと言ったことはあまり気にしていません。

<<池坊>>

さて、気になった順とは言っても、やはりここから始めないわけにはいかないので、池坊から紹介したいと思います。池坊はいけばなの根源として知られていて、根源なので、「~流」という言葉が付かない唯一の流派になります(若干矛盾してるかも?)。聖徳太子が沐浴したという池にちなんで名付けられたもので、京都市にある六角堂と言われるお寺の本坊に当たる方を指しています。詳細な人数は知りませんが、日本最古で最大の名実ともに最強の流派です。とにかく免状が欲しい。と言う人は、池坊の免状を持っておくことをオススメしています。日本中どこででも通用する免状ですし、サンフランシスコハワイにも支部があります。


池坊 池戸静山 作 

上の写真は、池坊からの作品の一つです。オンシディウムスイートピーアンセリウムなどのキャラの濃い花がたくさん使われていますが、全体に調和がとれていてかなり好きな作品です。ちなみに、これが池坊の典型的な作風と言うわけではありません。池坊のお花には三種類(立花、生花、自由花)あって、立花と生花は割と厳しい制約と言うかルールがあるんですが、立花や生花の考えを取り入れた自由花とかもあるので本当に色んな種類の作品が出てきます。そもそもほぼ全国に門下がいてその数も他の流派に比べて半端なく多いので、ひとそれぞれ、考え方それぞれのバラエティに富んだ作品が出てきます。

池坊 酒井エミ 作

上記の作品もそうですが、今回の僕が行った日程では、池坊の作品は伝統的と言うよりは現代的な、モダンでカジュアルな花が多く見られました。

<<草月流>>

次に有名な流派と言えば、草月流だと思いますが、 もうこの時点で「そんな名前聞いたこと無いわ」って人もいっぱいいると思います。でも、現在二番手の流派であることはほぼ間違いないと思います。と言うのも、今の草月流の家元は勅使河原(てしがわら)茜さんと言う方がやっていらっしゃるのですが、假屋崎省吾さんと言う、恐らく華道業界で歴史上もっともテレビに出ている方が所属している流派こそがこの草月流だからです。

ちなみに、草月流はそもそもの起こりとして、型重視の生け花に疑問を持った所から始まっているので、基本的に自由で個性的なお花ばかりです。特に、最近は?ホテルのロビーに飾られるような割と軽快で色も鮮やか過ぎず見やすい作品が多いような気がします。そんな中で、下の作品です。

草月流 山口渓品、渡辺渓瑠、永松渓恭 合作

 色んな意味で流石草月流だなぁ。と言う作品だと思います。

<<石田流>>

中日池芸はとにかく、出瓶数が多くて、どこから見ればいいのか迷うし、一つ一つの作品を覚えることなんて全然できないんですが、そんな中でもひときわ目立っていたのがこちら↓

石田流 石田秀翠 作
遠くから見ると、「なんじゃこりゃ!」と思う、まさに既存の生け花の概念の枠を大きく乗り越えた作品です。ちなみに、近くから見ると、

こんな風になっています。 しっかりと綺麗に苔が付けられていて、奇抜な中にもしっかり手間暇かけられて作られていることが分かると思います。ちなみに、やっぱり目だったんだと思います。中日新聞にもばっちりこの作品の写真が載っていました。

余談ですが、って、地味に見えて華道の材料(花材)としてはかなりの高難易度アイテムでして、成長が遅いし、枝ものでもないから剣山にも刺さらないので、「この木にちょっと付けてみるか」みたいなノリでは使えず、だいぶ早い段階で構想して準備をしないといけないので大変です。広い庭があるおうちや取りに行ける山がある華道家さんだと、自分の満足する枝や石をとってきたりとかしますし、買ってきたりしたものを一旦剥がしてどこかに定着させたりとかして準備します。更に、苔はかなりの高湿度の場所の植物なので、華展のようにエアコンが効いていて人の出入りが多い開けた場所だと、乾燥のために茶色く変色してしまったりするので、定期的に霧吹きで水を与えてやったりしなければならない場合もあります。

ちなみに、上記のやつはかなりのインパクトがあるので一応注意をしておくと、石田流の典型的な作品がこれ、というわけではありません。こんなのもありました。
石田流 石田雅翠 作
オウバイ、テッセン、シャクヤク等が使われているそうですが、花そのものというよりは、花のある空間を作る。みたいな作品ですね。証明が絶妙な位置にあってこっちがわに影が出来ているのも面白い感じだと思いました。

<<松月堂古流>>

日本生花司松月堂古流 堤澤陽斎 作
ここまでカジュアルなお花ばかりだったので、形式美的な作品も紹介しておきます。松月堂古流さんは今回僕が見た範囲では生花(とうちの流派では呼んでいますが、他の流派では時々違うのでどうなんでしたっけ)の作品でほとんど占められていました。このタイプのお花では、最長辺を縦にとった二等辺三角形(時に不等辺)を基本として、基本的には一種類の枝で形を作っていきます。今回は錦木が使われています。細かいところは後で説明しますが、この作品で見るべきところは、そんな三角形の下の頂点にワンポイントで入れられている黄色い小菊の存在です。これが入ると、締まるというか、調和がとれるというか、作品としての仕上がりがだいぶ違いますし季節とか雰囲気に合わせて何を持ってくるのかもセンスの見せどころになります。

<<未生流>>

さて、やっと我らが未生流です。と言っても、僕が所属しているのは未生流の中でも分派の一つである未生流桐門会であって、若干京都にある未生流とは違う部分があるかもしれないことを断わっておきます。
花道未生流 石島和甫 作
この作品も生花の作品で、右側に二等辺が来た三角形をしています。コウヤマキと言う、本来は大きな木になる植物ですが、先端の若い葉っぱの部分を取り出してきて、このサイズの作品に仕上がっています。先端は色々な方向に広がりを持っていますが、根元は一本に見えると思います。ただ、これは元々は一本ではなく、沢山の枝の中からまっすぐなものを選び出し、場合によっては他の線に沿うように曲げ、このように仕上げています。お花が無いので地味に見えますが、かなり手間暇かけて作られている、伝統的かつしっかりした作品だと思います。

花道未生流桐門会 長谷川敦甫 作
未生流の最後に、桐門会の作品も紹介しておきます。この作品の見どころは、木瓜の複雑な'枝ぶり'かなと思います。なかなかこういう熟した?枝ぶりの木はお店では手に入らないので、見甲斐のある立派な作品かなと思います。


<<そのほかの見どころ>>

本当はもっとたくさん紹介したいんですが、何しろ57流派も出ているので全部紹介するのは無理です。そこで、今まで紹介した以外にも華展で見ておいてほしいところを紹介したいと思います。
一つ目は板です。何気なく置いてある感じの板ですが、花や花器(かき)に合わせて、色々使い分けたり、使わなかったりしています。そこら辺まで見てみると、作者の意図がなんとなく分かって来て新たな発見があったりします。


もうひとつは、作品の並びと場所です。華道作品は一つ一つの作品だけでなく、周りの作品との関係性とか置いてある場所に合わせて表現が色々変わってくるので、それを楽しむのも面白いと思います。簡単な例を挙げると、これまで出てきた作品は全て壁を背にしている作品ですが、部屋の中央に置く作品などは、全方向から見られるように組んでいかなければいけないので、考え方がガラリと変わったりします。


また、花道作品は常に変わり続ける芸術なので、同じ作品でも昼と夜、昨日と今日とで違った見え方がしたりするのも魅力です。逆に華道家からすると、展示会の最中に作品のピークを持っていく技術が求められます。長年やられている方は、環境の温度や湿度を考えて、「前日の仕込みの段階では花が咲いていないけど、あと○時間でこちら側に花が咲くから…」と言った予測を立てて、生け込みをされています。


さて、長々と書きましたが、ちょっとでも面白いと思ってもらえたら幸いです。小さい華展であれば、市役所とか公民館で頻繁に開催されているので、是非足を運んでもらえたらなと思います。


P.S.他の流派の説明など、おかしいところもあるかと思います。温かい目で見て頂いてそっとご指摘いただけましたら幸いです。

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