2022年7月15日金曜日

7月の茶事

 7月ともなると、近頃では夏が始まっていて、いかに涼やかに茶事を楽しむか、と言うことが大事になってきます。

目から感じる涼としては、掛け軸に瀧や川の絵や、また書のみを掛け、書から涼やかな水辺を思い浮かべることも風情があります。また、水差しなどにガラス(ビードロ)のものを用い、涼やかにすることもできます。

花としては、木蓮や朝顔などがある時期です。

水差しでは、この時期は平水差しが使われます。平水差しには1枚蓋のものと2枚蓋のものがあり、それぞれ扱いが変わります。大きく開かれた水差しの口から目に入る水の様は涼しさを感じさせてくれます。そして、風炉釜を小振りにするのも夏の作法です。
 

お菓子では、葛饅頭など、冷たさを感じさせるものが好まれます。上手に冷やして出すのも良いでしょう。器を冷やすことも大事でしょう。ギヤマンの鉢も良いでしょう。

懐紙の使い方(香合の拝見のとき)

 女性が懐紙を懐中する場合は、5,6枚の懐紙を更に半分に折り、折り目が懐の奥に入るよう、右手で裁ち目の角をもって襟の間へ納めておきます。

 

炉の口語を拝見するときは、
①まず全体の形姿を拝見します。
②右手で蓋を、左手で身の方をもって蓋を開けます。
③両手で蓋をもって、全体を拝見します。

④蓋を伏せて、右横に置き、両手で身の方を持ち上げ、全体を拝見します。

⑤身の裏側には、作者の印判などがあったりしますし、畳付きのところなども拝見したいので、身を一旦下に置き、右手で開始を取り出します。

⑥右手の懐紙を香合の上に当てるようにして、左手で身の方に持ちます。

⑦懐紙の上へ香合を伏せるようにして、裏側を拝見します。

⑧拝見し終えれば、先述のように香合を畳の上に置き、懐紙を懐中へ戻します。

竹露庵

「やきもの」の町、瀬戸の中心部に、こんもりと木々が茂った丘のような小山がある。ここには「陶祖」として伝えられる加藤四郎左エ門を祀る陶彦神社があり、陶祖公園として市民に親しまれている。

この陶祖公園には、陶祖の功績を称えるために建立された市指定の有形文化財の六角陶碑がある。基部から4.1mもの高さがあり、全体が29個の部分からなる日本最大の焼き物である。

ゆっくりと坂を上がると、中腹に茅葺きの竹露庵がある。明治期に瀬戸地方で最初の西洋医となった加藤あきらが、名古屋の某家から茶室をもらい受け、この地に移築したものと言う。竹露庵の名は、明治19年に有栖川宮をお迎えした時に名付けられた。

茶室は4畳で桝床になっており、床柱は松である。茶道畳上は蒲の落天井 、客畳上は檜皮で葺かれた平天井で、押さえに煤竹が使われている。

茶道口に相対して貴人口が設けられ、その左側はにじり口である。山の中腹に建てられた茶室のため、庭は山腹を利用して四尺ほどの鉤の手によって構成されている。

この茶室の特徴は、床の右横に5尺あまりの大きな円相窓があることで、これが室内に開放感をもたらしている。また、床に突き付けて、向切りの炉が切られており、その左手は風炉先窓が設けられている。

竹露庵は緑の樹木に囲まれて、いかにも自然の中の庵といった落ち着いた佇まいだが、車の走る音は聞こえてしまう。

毎年4月の陶祖まつりにはこの茶室を利用した茶会や、広場での野点が行われてにぎやかだが、普段は使われることが無いのが少し惜しいです。

2021年9月8日水曜日

巴鐶の扱い方

釜の鐶の中には、色々と扱いがあります。今回はその中で巴鐶と呼ぶ鐶の扱いを説明します。鈴鐶と言われる物、蜻蛉鐶も扱いは同じです。

①炭斗を持ち出し、釜の蓋を帛紗で閉め羽箒をおろし、鐶を鳥、左手に預け、火箸を出します。
②左手の鐶の右手の向こうを、右手で持ちます。

③手前が向こうになるように、鐶を打ち返し、一旦左手に持ちます。

④常と同様に右、左の手に鐶を持ちます。

⑤釜の鐶付へ、二手で鐶をかけます。

釜敷きをだし、一膝前へ進んで、鐶を餅、釜敷きの上へ蓋をのせます。釜敷きへ釜の乗り具合を眺め、正してから、釜敷きごと釜を右下方へ移し、身体を釜へ正面にします。

⑥常の通り、鐶を外します。

⑦外した鐶を左手に一旦預けます。

⑧右の鐶の手前を持って、打ち返します。

⑨一旦左手に揃えて持たせ、二本の鐶を右手で持ち、釜の右、常と同じ位置に置き付けます。


体を風呂の前へ戻し、香合をだし、羽箒をかけ、下火を直して、炭をつぎ、と進めます。

釜に鐶をかけて、釜を風呂の方へ移し、釜を風炉にかけて、あらためてから鐶をはずすと言う作法は、先述した動作を裏返した順に進めます。

2020年12月28日月曜日

6月の茶事

 初風炉の時季も終って、なんとなく、風炉の点前やら、約束事にも馴れてきますと、早や六月の声を聞く物です。

 

茶杓について

茶杓の要素としては、茶杓の形だけではなく、筒、箱書等も重要な要素になります。 

茶杓の作られた年代は古く、茶の祖、村田珠光、武野紹鷗時代までさかのぼると言われます。r歴史的には中国より象牙の茶杓が伝わったのが起こりとされています。形は先が匙のような形で茶匙(さひ)と呼ばれています。

紹鷗時代のものは長さもかなり長く、節の無いものや、節が一番下にある止節の形が典型です。現在では無節のものは真の形で一般の茶会では使われません。それだけ形、長さが時代が古く格調高いと言うことです。次の利休の時代は、いわゆる茶杓の原型で現代まで受け継がれています。利休の茶杓は節が真ん中のところにある中節形、全体非常にスマートな形で節のあたりは腰が高くいわゆるアリ腰になっています。

茶杓の材質は後の時代になってきますと、竹の他、松、梅、漆、蒔絵等が乱れるようになります。古い茶杓は竹が大半で又竹ということが価値観のある物です。又宗旦の時代までは無地の拭きウルシの物が多く、今でもかなりツヤの良い物が残っております。一方、遠州、宗和の大名茶人の茶杓は侘びの中にさらに綺麗さを兼ね備え、遠州は竹自体、自然なゴマ等景色あるものを選び、宗和は上品かつ洒落た感じのするものが伝えられています。

次に茶杓は筒、箱書が重要です。筒は中味と同じ人で共筒、箱は筒により時代的に近い人、更に外箱も同系統の子孫があると理想的です。利休の頃の古い茶杓には共筒で無いものがありますが、少し後になって筒が作られている物もあります。これを追い筒と言います。また、誰かに送った物を贈筒等ありますが、これは現在のように、茶杓、筒、箱と一緒に作られた物ではなく、中味だけが、あるいは共筒までで、茶杓を紙で包むという古来の風習による物です。筒、箱の関係はあまり時代的に離れていないのが肝要です。いくら茶杓のみが素晴らしく、もっともらしい物でも筒、箱書等整っていませんと大変価値が違ってきます。

さらに銘のことも重要です。銘は歌銘、季節銘、賀銘、詩銘、無銘など数多くありますが、よろこびや季節にぴったりの物が理想的です。しかし古い物ほど良い銘や、銘の無いものが多く、却って無いものはそれだけ時代が古いと言うことで、濃茶に使われることがあります。又、扱いについても大事なことですが、茶杓の一番先のかいさきが割れていないか、筒の汚れ、墨書きのにじみ等が大事な見所です。又、同時に拝見、扱いの折には墨書のところ等絶対触れないことが大事です。

次に宗旦行こうには色々変化が出てきます。茶杓は無地、ウルシ拭きの時代が終わり、竹そのままや黒、赤、ウルシの上に蒔絵をほどこしたり、竹に彫を入れたりした物があります。茶杓の節も中節の他、節下り、二つ節、三つ節等が作られ、筒も時代を隔てた替筒や、二人以上同じ筒に入れる会所筒等、それぞれの茶会の趣で拝見できます。

2020年12月12日土曜日

味噌について

 味噌は、日本人の食生活に欠かすことが出来ません。

その伝来は中国や韓国など諸説ありますが、味噌が醸造され、店舗での販売を開始したのは平安時代と言われています。

そして、一躍脚光を浴びたのは、秀吉の頃からで、茶会に懐石という料理が登場したことに寄ります。以来、味噌の風味は茶人の趣味に叶って、茶の湯懐石の調味料として重宝され続けてきました。

味噌の種類

一口に味噌と言っても、米味噌・麦味噌・豆味噌・調合味噌とがあります。その中で出荷量が最も多いのは米味噌で、味噌全体の8割を占めています。東海三県で作られる豆味噌は全体の5%しかありませんが、豆味噌が懐石料理で果たす役割は大きいです。

 

種類味・色による分類主な産地特徴
米味噌
(米麹使用)
甘味噌
近畿、中国、香川
麹の割合が高く塩分は6%前後と低い。成熟機関も5~20日と短い。白はまろやかな甘み、赤は濃厚な甘み。
東京
甘口味噌
淡色静岡、九州
暖かい地方に多い。麹の割合が比較的多く、塩分は淡色が9%、赤色が13%前後
徳島
辛口味噌
淡色長野、関東
麹の割合は少なく塩分が12~13%程度。寒い地方で作られた保存性の高い味噌。成熟期間も長い。最近は辛みを抑えた中辛も多い
北海道、東北、北陸
麦味噌
(麦麹味噌)
甘口味噌中国、九州
関東の麦味噌は主に大麦を、九州では裸麦を使う。麦味噌は一般に香りが良いと言われている。甘口の熟成期間は1~3ヶ月、辛口は3~12ヶ月で、塩分は12%前後。
辛口味噌関東、中国、九州
豆味噌
東海大豆に直接麹をつける独特の味噌。暖かい地方には、珍しく辛口で、塩分は11%前後。赤だしに使われる味噌は米味噌と合わせている物が多い。熟成期間は1~3年。  

八丁味噌

 豆味噌の中で代表格と言えば八丁味噌です。八丁味噌は夏季の高温、高湿にも酸敗しない長期保存にも最も適した味噌です。

名将のもとには、必ずおいしい味噌があったと言われています。上杉謙信には越後味噌、武田信玄には信州味噌、伊達政宗には仙台味噌といった具合です。 

原料は丸大豆

製造工程の最初では、まず丸大豆のゴミと異物が取り除かれ、洗浄後は水に浸して水分を含ませます。水を切った大豆は大きな蒸し釜で蒸されるが、この作業が最も技術と経験が要求されます。白味噌は大豆処理の際に煮られるのに対して、赤味噌は蒸されます。高圧で蒸すと大豆は赤褐色になり、栄養分が逃げません。

豆麹つくり

蒸した大豆は玉握り機で手の拳大に握られ、味噌玉となります。そして、種麹散布機で味噌玉の表面に種麹をつけ、自動制麹装置室で豆麹をつくります。

味噌だけでなく、醤油・酒などはすべて麹の助けを借りて作られます。麹とはカビの一種で、生育の際に消化酵素を体外に分泌する性質を持ちます。米の澱粉を糖に分解したり、大豆のタンパク質や脂肪をアミノ酸や脂肪酸に分解したりします。

仕込む時、カビ自体は死滅しますが、酵素は働き続けるのです。この麹を大豆につけて生育させたものが豆麹、米につければ米麹となります。豆味噌は豆麹のみで仕込まれ、米味噌や麦味噌は、それぞれ米麹・麦麹と大豆とを合わせて仕込むことになります。

熟成三年

麹のついたみそ玉は、割砕され、水と塩を配合して撹拌機でかき混ぜられます。

最後に、大きな桶に味噌を仕込みます。桶の上には意思を積み上げて三年もの間じっくり寝かせます。

成分起源効用
タンパク質大豆コレステロールの低下、血管の弾力性保持
ビタミンB1麹菌体内の酸化還元を促進
ビタミンB12最近造血作用、神経疲労防止
ビタミンE大豆酸化防止、老化防止
酵素麹、酵母、乳酸菌消化を助ける
サポニン大豆過酸化脂質の生成防止、血中コレステロール等の低下、
動脈硬化の防止、肝障害の防止
トリブシンイン大豆抗がん作用、糖尿病の防止
ダイゼイン大豆酸化防止、肩こりの解消、抗変異原性、乳がん予防
ダイゼインコリン大豆脂肪肝の防止、老化防止
レシチン大豆コレステロールの低下、動脈硬化の予防
プロスタダランチィンE大豆のリノール酸高血圧の防止
色素大豆酸化防止、老化防止
食物繊維大豆コレステロールの低下、大腸がんの予防

赤出し 

 赤出し、と言う意味は、味噌を布巾で包み、だし汁の入った鍋のなかで溶かしだして、吸い物に仕立てた際に、八丁みそなどの豆味噌と甘口の白味噌を合わせてもちいたので、赤茶の色が付近から出る、と言うことに由来しています。

赤出し八丁味噌は、八丁味噌に特別仕込の米味噌を加えて調味した調合味噌のことで、代替半々に調合されています。