5月には炉を閉じ、風炉に変える時期です。
風炉のすえ方は、茶道具が丸畳(3~6尺)ならば、この畳の前後・中央から、8寸(約24cm)向こうに風炉の敷板の手前が来るように置き、左側の空き間は5,7,9,11目と奇数にして、敷板の右側を畳の目に揃えるように置き、その上へ風炉を据えます。この茶道畳が題目畳であれば、風炉の敷板の向こう側と、たたみの先端とのあいだが5寸(約15cm)空けて置き付け、左の空きは先述同様にします。
炉を閉じて風炉に変えた時には、炉の時に開炉と呼ぶように、初風炉と呼んで、少し格式張る感じで道具組をするのが古人の習いです。具体的には、土風炉を用いて木地の水差しを使うというのが一つの例です。一般の稽古の場合は、風炉は五徳据えのものを選び、切り合わせの風炉はもう少し先にしたいところです。
ひな祭りと違って、五月の端午の節句を表す道具は多くあります。端午の節句は尚武の節句とも言い、尚武を菖蒲に置き換えることもあります。そこで花入れは粽側のもの、あるいは武将にちなんで烏帽子籠と呼ばれるものを使うこともあります。
それ以外にも、おおざっぱに
柄杓:柄の切留が身そぎ
竹の蓋置:節止め
香:沈香などの香木
香合:塗り物、木地のものなど
炭斗:やや小振りのもの
炭:毬打炭(約6cm)、管炭(約12cm)など
羽箒:左羽根
火箸:巣打ち(みずとも呼ばれるものなど)
灰器:釉がかり
灰匙:柄が竹皮巻
などと変わります。
風炉の花
補記釣瓶水差は風炉に使いますが、曲の水差は炉用と言われるように、花にも、牡丹は炉に、芍薬は風炉。椿の花が炉の主役でしたあ、風炉になると木槿が主役と入れ替わります。と言っても、5月には槿は咲いていません。鉄線の花が矢車に見立ててか、よく使われています。
季節の変わり目の花は難しく、一重咲きの山吹は炉、八重咲は風炉用と言い伝えられたりもしています。
お菓子で言うと、生菓子の薯蕷(しょよ)は炉用で風炉に入ると葛がそれに代わります。
風炉の料理
向付に用いる魚は作り身にして、炉であれば昆布締めにして盛り付けますが、風炉の時は、紙塩や立て塩などの調理法で向付に盛る膾(作り身)の基本的な調理法で下ぞろえをします。
焼き魚は塩焼きが風炉の基本で、照り焼き付け焼きなどは炉の基本です。
最も小鳥の類は炉のもので、風炉には用いないのも約束事の一つです。
大まかに、炉の時季のものは濃厚な味付けとか香りで、風炉の時季は淡泊な味付けや香りと言うことになっています。
野菜も同様で、それこそ旬のもおを珍重しますが、走りのものを貴重にしては如何かと思います。たとえば、瓶詰の蓴菜(ジュンサイ)は一年中手に入りますが、実際に沼から採る生のジュンサイは5月が旬のものなので、みそ汁の具にしたり強肴として酢の物で提供したりします。
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